『武士の家計簿』をみて思ったこと(ネタバレなし)

先日、地元の図書館から借りてきたDVD『武士の家計簿』を観ました。本日は、その紹介です。

武士の家計簿は、磯田道史原作の「武士の家計簿『加賀藩御算用者』の幕末維新」を、森田芳光監督が映画化したものです。

代々加賀藩の財政に携わり、“そろばんバカ”と呼ばれた下級武士が、妻の支えを得ながら一家、そして藩の財政を切り盛りしていく姿を描いたものです。

主演は、今をときめく堺雅人さん、献身的な妻は仲間由紀恵さんでした。

堺さんの演技はテレビで見るようなオーバーなところはなく、淡々として好感がもてました。

この映画には、幕末、武士の面子、倹約・節約、夫婦愛、家族愛など様々なテーマが織り込まれていました。その中でも私が特に強く心に感じたのは、親子、そして『お家芸』でした。

この映画は、堺さんが演じた猪山家八代目の直之の息子”直吉”が語り部です。彼の視点から始まり、彼の視点で終わります。

幼いころから父に『算用方(今でいう会社の経理部門?)』としての厳しい修行(しつけ)が始まり、ときには父に反発し、ときには自力で対応しようとする場面が何度か出てきます。

猪山家は、代々『算用方』としてなりたってきたお家であり、筆とそろばんが猪山家のお家芸なのだから、跡取りである直吉もこれらに秀でたものにならなければならない・・・。それが世の常である。

半世紀をすでに生きてきた私でさえ、『う~ん、こんな時代がちょっと前まであったのか』と思わされました。

私の実家は自営業ですが、『お家芸』といったものはありませんでした。なぜならぱ、実父が再就職した会社から独立して始めた仕事だからです。

私が高校生のころ、『家業は継がないよ。だって、この前、新聞を見ていたら〇〇〇という技術が確立して、いずれ一般に広がると書いてあった。この技術が広まったら、うちの商売はつぶれると思うから』。

今思うと、とても生意気かつ無神経な発言でした。それでも実父母は、私の好きなようにさせてくれました。

私は今、サラリーマンをしています。

今年は二人の娘がそれぞれ高・中学校の3年生になります。

我家にお家芸なんてものはありません。

今は、彼女たちには自分が進んでみたいと思っている道を進んでもらいたいと思っています。女の子なのだから〇〇〇しなければならない・・・なんて、まったく思っていません。

とにかく、自分を見つけ、自分を信じて進んでほしいです。

そんな気持ちを抱かせてくれた映画でした。

おしまい